受講者の皆さまへメッセージ

建築物石綿含有建材調査者を目指す皆さまへ

「新規程」として建築物石綿含有建材調査者講習登録規程が、平成30年10月23日に厚生労働省・国土交通省・環境省告示第1号として告示・適用された。
告示の趣旨は、以下の内容となる。

① 国土交通省では、平成25年7月 告示第748号「建築物石綿含有建材調査者講習登録規程」を 定め、公正に正確な石綿含有建材の調査を行うことのできる者の育成を行ってきた。(旧規定)

② 厚生労働省及び環境省では、建築物の解体・改修時において、平成17年省令第21号 石綿障害予防規則 第3条及び 昭和43年法律第97号 大気汚染防止法 第18条の17の規定に基づき、解体・改修時の前に事前調査が必要とされており、厚生労働省及び環境省では、石綿に関し一定の知見を有する等の者が当該調査を行うよう、周知啓発等を行ってきた。

これらの調査に求められる知識や技能は共通の内容が多く、今後、石綿含有建材が使用されている建築物等の解体等工事の増加が見込まれることから、厚生労働省、国土交通省及び環境省が連携し、以下を兼ね備えた者を育成するために、新規定が制定された。

1)建築物等の通常の使用における石綿含有建材に関する調査者
2)解体・改修時における石綿含有建材の事前調査に必要な知識を含む、総合的な専門知識を有する者

一般社団法人 環境科学対策センターは、「新規程」登録全国で第1号として厚生労働省・大阪労働局に講習実施機関として登録した。

石綿は、肺がんや中皮腫など重度の健康障害を及ぼす有害性を有するものである。
ILO(国際労働機関)では、「石綿の使用における安全に関する条約」(第162号)が採択されており、我が国でも同条約を批准しているなど国際的にも、石綿による健康障害の防止が強く求められている。
規制対象は、石綿をその重量の0.1%を超えて含有する繊維状を呈しているものを規定している。
この理由は健康障害を防止する観点からであり、ここで繊維状とは、アスペクト比(長さ/幅)3以上の粒子をいう。

便宜上分類されている所謂レベル1・2・3は、あくまでも目安と考え、建築物等の解体・改修の計画、実施段階においては、それ以外の因子も十分に考慮して措置することが肝要である。

建築物等の解体・改修作業における労働者への石綿ばく露防止及びその周辺への飛散拡散による周辺住民等への二次ばく露防止のために、この講習で得られる内容は大変重要で、資格者の社会的責任は重い。

全国で、事前調査の不備による石綿ばく露防止対策が講じられなかった事案が相次ぐなか、本講習で育成された調査者が、建築物等の解体・改修に係る石綿飛散及び漏洩防止対策に大きく貢献されることを願うものである。

 

2020年( 令和2年 )3月
一般社団法人 環境科学対策センター  専務理事 脇谷壮太朗